7年の延期を経て発売された科学ADVの最新作。
シリーズのファンとしてはめっちゃ満足でした。
唯一無二のクオリティを見せつける
この手のゲームの「近未来」を感じさせる作品でした。
■最高のヒーローたちの物語全体的に
「困っている人を助ける」をモットーとした
ヒロイックな作風で、主人公が自身の能力や
仲間との協力を得て困難を打ち破るという展開がかなり多いです。
特に終盤の絶望的な状況からの逆転劇は本当に熱くて、
話の規模やスケールの大きさとしてもシリーズ最大だったと思います。
キャラクターの一人一人に何かしら見せ場が用意されていて
最初ネタ枠だと思ってたキャラが思わぬ行動を見せたり、
敵だったキャラが味方になって協力してくれたりと、
少年漫画的な面白さがありました。
見せ場となるシーンで「漫画」的な演出になるのも
そういう漫画的なヒロイックさを後押ししていたと思います。
主人公のポロン君もそういったヒーロー要素を感じる部分が結構ある主人公で
これまでの科学ADVの主人公と違って初見でとっつきやすかったのも事実です。
とにかく正義感が強く、困ってる人を見捨てれない性格
自信過剰で調子に乗りやすいところは結構あるのですが
それも踏まえても目に見えて分かる「良い奴」
好きになった女の子のために文字通り命をかけたり、
共感できるヒーローとしては合格点ですね。
だからこそ終盤で心が折れて完全に塞ぎ込んだ彼は
見ていられなかったですし、そこから仲間や亡き父の
想いをくみ取って復活するシーンは熱かったです。
ヒーローが倒れたときヒーローを支える人間からの支持を受けて
復活するシーンは少年漫画好きとしてはやっぱり好きなシチュエーションですね。
メインギミックはタイムリープ系に近いので
シュタインズ・ゲート的な印象を受けますが、
中盤以降出て来る能力者バトル要素はカオス系列で
全体的に明るいノリはロボノに近い作品って感じがしました。
先にトゥルーエンドにたどり着いたんですが、
ノーマル→トゥルーの順番で見た方が絶対良いですね。
■高度に発展した近未来本作の舞台が2037年ということでデバイスなどが
かなり近未来を予感させるものになっています。
ただ、IOTやAIなどの技術は現代でも存在する技術で
あくまで
現代の技術の地続きであり発展形であることを感じるので
今の技術進歩から考えたら2037年にはこうなってても
おかしくないなという未来想定になっているのが絶妙なバランスです。
ロボノが発売した時まだスマホゲー全盛期ではなかったのですが
"2019年に携帯端末で高クオリティなゲームが遊べる"という
近未来予想が見事に的中していたんですよね。
なので実際2037年になった時、果たして技術は本作に追いついているのか
それとも追い抜いているのか?楽しみですね。
流石に量子テレポートやサクラメントみたいな能力は
再現するのは無理だとは思いますが。
あれはあくまで"あの世界だから"できたことでしょう。
■メタ科学アドベンチャー本作最大の魅力と特徴はこの
「メタ要素」ですね。
"ゲームをプレイしているプレイヤーがキャラクターを
動かして何かしらの事件を解決に導く"
というゲームという手法に対するメタ要素が
すごく含まれていた作品でした。
作中ではなかなかこちらの言うことを
素直に聞いてくれないポロンくんには困るんですけど、
それは彼らも魂を持った人間であることの証明であり、
プレイヤーが干渉できる要素が「セーブ」「ロード」
そして「ハッキングトリガー」のみなのも
"上位世界の人間とはいえ彼らを好きに扱うことはできない"というのを示していたんじゃないかと思います。
一見窮屈にしか感じない仕様なんですが
作品の設定を考えると納得できるんですよね。
あと作中のキャラクターたちからプレイヤーが認知され、
プレイヤーの行動が最終的に事件を解決に導く。
という展開も
「神(プレイヤー)をハッキングする」という
本作の目的が達成されていることが示していたんだと感じます。
彼らの物語を見て、彼らに動かされたわけですから
プレイヤーは見事にポロンたちに"ハッキング"されたことになります。
終盤アノニマス君のセーブデータを信じて
ポロンがロードをするシーンは完全に
プレイヤーと彼が協力関係を結んだ瞬間であり、
そのあとの
「セーブだ、アノニマス君!」のシーンは
見てるこっちもその想いに答えたくなる名シーンでした。
最終的にヒロインであるモモを救うかどうかの
最後のきっかけを作るのもプレイヤー自信の選択なのもよかったです。
「モモが消えて終わるとかそんなの許せねぇ!!」ってプレイヤーに認識させた時点でこのゲームの勝ちだったんでしょうね。
こういう第四の壁を越えて来る作品は結構あるのですが
一番印象に残っているのが
「Ever17」ですね。
5pbの前身であるKIDさんが開発した
今もなお神ゲーとして語り継がれてる作品なんですが、
あの作品も
「プレイヤーを騙し、プレイヤーを作品に介入させる」ということを目的としていましたから。
■個人的に不満に感じた点ボリュームの少なさと分岐の少なさですね
今回はほぼ一本道で最終的に
ノーマルかトゥルーの二択しかなかったので
過去作に比べてボリュームが少ないように感じました。
せっかくセーブ&ロードの設定があるんですから
いくらでも分岐は作れたと思うんですよね…
初期版カオスヘッドがこの形態だったので
ある意味で"原点回帰"していたのかもしれませんが。
あと事件から事件って感じで各チャプターごとに
事件の連続だったので、日常描写が
もうちょっとあってほしかったですね。
キャラクターも全員良かっただけに
もうちょっと掘り下げて欲しかった気もします。
まとめ:
「ゲーム」だからこそできたメタ作品。だからメディアミックスはしづらいんだろうなと感じますし
是非ゲームとして手に取ってプレイしてほしい作品ですね。
あと終盤で過去シリーズから
"彼女"が登場したのはやっぱり驚きましたね。
作中で何度も名前は出ていたので、
いつか出て来るんじゃないかと思っていたのですが、
本当に出て来るとはね…
過去シリーズ要素はそこだけで、
基本的には本作だけで完結してる作品なので
シリーズ初見でもプレイしやすい作品だと思います。

もう一つの「なかったことにしてはいけない」物語
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どれもボーイミーツガールものの王道とはいえ、凄く丁寧に作られていてよく出来ていると感じました。
お盆休みに面白い物語を体験できて自分も楽しかったです。
> どれもボーイミーツガールものの王道とはいえ、凄く丁寧に作られていてよく出来ていると感じました。
> お盆休みに面白い物語を体験できて自分も楽しかったです。
確かにボーイミーツガールものとしてお手本みたいなセカイ系作品してましたね。
本当に熱かったです。